1973年10月刊行のアマチュア雑誌 「 Out of Time 」(ガリ版刷り)

四人囃子コンサート評    四人囃子インタビュー

<資料提供 : 浦和ロックンロール・センター 高沢正樹 さん>

 

Out of Tme(略称O某) No.3 昭和48年10月10日

 

はじめに

  O某も少しは有名になったのか、近頃よく訊ねられるのはO某とは何か、どういうことをやっている雑誌なのか、ということである。そこで、O某をちゃんと読んで下さっている方には繰り返しで申し分けないのですが、今一度編集方針などを述べてみたいと思います。
  僕らの運動は、ノン・アングロ・サクソン・ロックの定着発展及び、将来書かれるべきノン・アングロ・サクソン(特に日本とフランス)ロックの歴史のための、ささやかでも資料と、助力になることを希望してのものです。
  それから、僕らの雑誌はプロジンではないので、あくまでアマジンでしか出来ないことをやって行く。だからO某にとって第一の目的はアーチストのNews ではなく、僕らファン(受け手)の側の感じたこと思ったことやったことの記録である。
 尚、少部数発行に執着するのは上述の目的を果たすための積極的な障害とはなっていないと思います。

(中オ)

 

(目次部分)

  Out of Tme No.3 Vol.T(季刊) 秋季号 昭和48年10月10日


コンサート評  四人囃子(!)    4  柿沼、原島、関谷、中オ
          あんぜんBUND(!)
          BAD SCENE
          ゲッセマネ
          OZ
          クリエーション
          紅トカゲ(ゲェッ)
          はっぴえんど(!)
          キャラメル・ママ(!)
          頭脳警察
            他


四人囃子インタビュー         23  編集部


前記/中記                1/37 中オ・某


News  あ・ら・きゃ・!る・と     38  編集部

■バックナンバー紹介

★創刊号 昭和48年3月22日発行
  ラウンドハウスのストーンズ(翻訳)
  フランスロック界展望 '71
  シーン '71(日本のロック)
  仏ロック・グループ・リスト
  グループ紹介;マルタン・サーカス
20ページ
¥50        (残部なし)

★第2号 昭和48年6月18日発行
 イヴェント評
ディナスティ・クリジス インタビュー
日本既発売の仏ロックLPリスト
LP評   etc...
36ページ
¥100       (残部なし)


・編集/中尾重晴             OUT of TIME(略称O某)
・連絡先/ <掲載を省略します・・・四人囃子サイト>

 

四人囃子コンサート評

 

--------------------------------- MIRAGE of 四人囃子
le 21 juillet
杉並公会堂
4:00〜

■出演  Loo
      自滅回路
      四人囃子

 「Loo」は意識先行型でまだまだ。
 「自滅回路」は文字通り、自滅回路を一心不乱につき進んでいる。ジュリーの歌を歌って悪いわけではないが、それにしても悪ノリだよ。余りにも思考が単純幼稚である。
 「四人囃子」に関してはNMM9月号に大貫氏が書いているとおりであって、数少ない(それでも10位はあるかな?)見て良かったと言うことの出来る日本のロック・グループの一つに成長したと思う。

(中オ)

 

四人囃子 ----------------------------
“やっぱりお祭りへ
  行ってしまったら
    泣いてしまった”
le 21 Aout  俳優座

  この日の出しものは「ジプシー・ブラッド」「寺田十三夫と信天翁」「四人囃子」。スケジュール表にはジプシー・ブラッドが入ってなかったので、ああこれでは四人囃子の演奏時間が削られてしまうと余計な心配をしながらヒゲのベーシストばかり見ていた。でも結構ノルじゃないの。それにベーシストがいい。
  寺田十三夫は何となく格好よくて、最初のアコースティック・ギターの演奏が終わって椅子をけっとばした途端、ズダダーンというエレキのうなり声。エレキ・ギターの弓弾きや、ツイン・ギターとか新しい試みを加えながら、一方では生ギターかかえてフォークを唄う。ちょっと散漫だけど、それでもバチッときまっていたのは、一曲一曲の演奏時間が適当に短いからだ。生ギターにどこかで聴いた覚えのあるフレーズがあったので、はてと良く考えてみたら、ああ、思い出した。フラッシュの“DREAMS OF HEAVEN”のイントロだ。バックの信天翁の演奏もなかなかイケるのだけど、何しろ音が大きすぎる。この日は、どうも左右のアンプのバランスが悪く、左のスピーカーからは脳天に食い込まんばかりの音が出ていた。
  さて、お待ちかねの四人囃子の登場。ここは今、私の一番好きなグループです。彼らの演奏を初めて聴いたのは忘れもしない大雨の降った7月21日の“ミラージュ・オブ・四人囃子” もうそのショックたるや、ああついに日本のグループもここまできたのか、これ程感激したのはイエス以来、いやイエス以上だと愚にもつかぬことばかり口走っていたのを思い出す。何てきれいな音なんだろう。それにオリジナルのセンスの良さ。たぶん今の日本のグループの中じゃ一番イギリスっぽい。でも、何といっても最大の魅力はイエスと同じところにある。やっぱりここも、あの理知的な冷たさと、ものすごい優しさ、というかエモーショナルなものを兼ねそなえていたのです。今回のコンサートは“ミラージュ・オブ・四人囃子”のとき程、音は良くなかったけれど、楽しかった

(柿沼)

 

四人囃子インタビュー(特集表紙)

 

四人囃子インタビュー特集の表紙  生カラー写真添付

 


ミラージュ・オブ・四人囃子(?)のステージ・ショット

 

よにんばやし /
森園勝敏(ギター、ヴォーカル)S 29.2.18
中村真一(ベース)S 27.8.22
坂下秀美(キイボード)S 28.6.22
岡井大二(ドラムス)S 28.7.8
MANAGER/岡井嗣明

(注:囃子サイト)坂下の名前が間違っていますが
そのまま表記しています

 

 

四人囃子インタビュー

 

  インタビューと言うのもおこがましいのですが、座談会が行われたのは9月1日、午後4時から約2時間新宿のルノアールにて。出席者はマネージャー (M) の岡井さん、以下登場順にキイボード (K) 、ドラム (D) 、ギター (G) 、そしてベース (B) の5人、O某からは、柿沼、原島、中オの3人。


-- 「Mirage of 四人囃子」の時の照明は自分たちでやったんですか?それとも...
M/ ええ、一番今までやった中で気に入っている照明グループなんですけど、Show Stage - これは東洋大の研究会の人たちが中心になってやってるんですけど、その人たちがすごく音が分かってくれるし、割と親しいし事前にうちあわせもしているし、特にやっぱり照明なんていうのは屋内でやる場合必要でしょ、だから割とうちの音を知っている点で、やってもらっている。

-- 作詞、作曲はだれが
M/ 作詞に関しては、ある影の存在がいまして、素晴しい人が。作曲に関してはメンバー全員でやります。

-- 歌詞と曲とどちらが先ですか?
K/ 曲の方が多いみたいですね。
M/ そうですね。

-- 日本語を曲にのせる場合
K/ 歌ってるギターにまかせています。そうでないと、こちらの勝手にやってしまうと歌いにくい...

-- リーダー
M/ いません。口うるさいのが一人ここにいますから(笑)。

-- ケンカしますか?
M/ うちはケンカしませんね。割と腹黒い奴がおおいから冷たい戦争が多いですね(笑)。

-- 日本語のオリジナルをやるようになったのは?
M/ 1年半位前から

-- きっかけみたいなものがありましたか?
M/ きっかけって別にないんじゃないですか

-- 例えば、その頃だと日本語で歌うべきか英語で歌うべきか問題になった時期でしょう
M/ 僕らに関してはそういう問題は全然ないですね。それでたまたま、ある知人が、コピーライターをやっているんですがその人がすごくいい詞をつくるんですよ。ギターが仲がよくて、それで曲をつけたらすごくいい曲ができた。それをうちでやってみたら、ああ、これはいいじゃないか、となったのがキッカケといえばキッカケですね。

-- ネッシーのなんとかいう曲(注)は   (注)泳ぐなネッシー
M/ あれは、あれの詞もその人です。今の所うちの詞は全部彼です。曲はこいつ(K)がやって。なんと言おうか、日本語とか英語とかそういう意味ではなくて、日本語はむずかしいんですよ。特に西洋音階にのせる場合には。僕らのやってるのは西洋音階ですから。だから詞というものはものすごく難しいし、特に今は、日本語のオリジナル詞といわれているものは攻撃的なものが 多いでしょ、そういうものはあんまり全員好きじゃないようですから、たまたまああいうような詞がみんな気に入って、それで専属の作詞家みたいな人が一人存在してるということ。

-- 日本語でやるようになって観客の反応はどうですか?
D/ 日本語の方がやっぱり気持ちいいでしょうね。聞いてる方としては言っていることが分かるということは、一番いいことだと思う。だから日本語の方が喜んでいるみたいですね。僕達もそっちの方が気持ちいいし。

-- 印象に残ったステージ
K/ 僕はないですね、別に。
M/ 彼は今までやって来たことに全部不満だらけだから、別に良かった悪かったてことはないんじゃないですか。
D/ おととしの11月の学習院。はじめていろんなプロといおうか、名のあるバンドと一緒になってね、そっちよりうけたから。あとは、去年の9月16日のフリー・コンサート。あれで今のうちらしい曲をはじめてやったんだ、それがまた、久し振りでうけて、何か野音でやったのを、客がかなりのってきて、ステージにあがってきたりして。 この2つ位。  最悪でいやだったのは、もうしょっ中だから。
G/ 悪かったのはいっぱいあるけど、良かったのは、やっぱりこないだのコンサートかな。
M/ 9月の野音が良かったね。
G/ はたから見るとそう。
M/ 一人一人違うだろうけどね。だが、演(や)ってる側と見る側と違うんですよ。だから僕が、要するにこいつらの、一番数多く見てるファンなわけですよね。だから僕としては去年の9月16日のフリー・コンサート、あれが印象に残ってるんです。
G/ 天気が悪くてよけいなんじゃない?
M/ そうね、こいつら雨が降っていたときが一番いいですね(笑)。
B/ ボクは、やっぱり杉並公会堂の時。(Mirage of 四人囃子)

-- 日本だと、無名のグループが幾ら良い演奏をやっても、名のあるグループをくうということは少ないんですが、どんな客層の時が一番やり易いですか?学園祭とか...
M/ 学園祭なんて、却ってやりにくい。わりと学生ってのは定義づけしたがるでしょ。でも、地方ってのはやり易いのかね、やっぱり...

-- あの、学園祭の場合、ギャラはどういう風になってるんですか?
M/ ええ、同じですよ。一応、基本的な線ってのはどんなバンドにもありますから、一応それで。でも学園祭の場合だとね、例えば普通のコンサートの場合だと主催者がいて、そういう人達がほとんど手配するんだけど、学園祭の場合だと何から何までこっちでしなければならないんですよ。要するに決められた日と場所だけ学生が提供して、そこに必要なもの、楽器からなにから全部こっちで用意する。だから手間としては学園祭の方がかかる。

-- “ Mirage of ...”を見るとグループとしての音が、ある程度確立されたと思うんですが、今後サウンド的にはどんな方向へ、例えば日本でいうなら、コトバを大事にするはっぴいえんど型と、コピーからストレートに外国と張り合おうとするフライド・エッグ型とあるわけですが、四人囃子の場合は、折衷的な方向だと思うんですが、向こうから吸収するものがなくなった場合は...?
M/ それは、どうかね、わからんねえ。
D/ 具体的な説明の仕方は分からないけど、あの7月21日にやったあの曲は、別に精一杯やったわけではないし、まだまだ。
M/ まだ、コロコロ変わるでしょう。おそらく。
D/ そろそろやる気が改めて出て来たというとこかな。
M/ うちがコピーを割とつづけて来たのは、それだけの意味もあったし、いろんなコピーがあった。同じステージでマウンテンをやったりピンク・フロイドをやったりした時は、その時はいろいろなこと言われたけど、それはそれなりに意義があったと、あの、杉並公会堂の事以来、見方もだんだん、いや急に変わってきたけれど、ウチとしては別に変わってないんですよ。ただ単に客の前でやったのが、たまたまあの7月21日がきっかけとなったということ。うちとしてはある程度思ったとうり、ローテーションどうり行ってるから、だからこれからも変わるだろうし。

-- 練習場のことですけれど、定期的にやれるところなんてありますか?
K/ あまりないですね
M/ 貸スタジオを借りたり、知ってる学校の教室を借りたり、どこのバンドもそうじゃないですか、殆ど貸スタジオじゃないですか、自分のとこでスタジオもっているなんて聞いたことがない。いろいろなバンドが集まってね、そういうものに力をいれていければできないことはない。それが理想です。

-- 練習量は大体どれくらいですか?
M/ うちは少ないですよ。
D/ ほとんどない(笑)
M/ あの曲に関しても、割と長めで一見力作って感じだけれども、1日で出来たりしてるからね。
D/ 21日のコンサートの曲は、タネあかししちゃえば1曲1日だった(笑) 21日の1週間まえに、あのコンサートはオリジナルでやんなきゃなんないなあ、なんて。1日1曲でやれば7曲できる。
-- なるほど。

-- ショーアップしたステージていうのはどうですか。“ミラージュ・オブ・四人囃子”みてもメンバー自体のアクションが少ないですね。だからせっかくストロボ使っても、効果が減じている。
D/ やるつもりだったのが、急きょ中止になりました。一時ね、マウンテンなんかの曲なんかやった時は、
G/ アクションもやってた。
D/ アクションで売ってた(笑) つまり、動いて動いた分だけ乗る曲と、動くとシラケる曲があるでしょう。雰囲気で。うちのはもう最近のは動いて乗る曲じゃないと思うから、自分たちでは。ときたまのって、思いきって動いた方がいいみたいなときもあるけど、
G/ ころころ変わるから、あんまり動いてられないんだよね。
D/ あの、一番大切な原因てのはですね。たいてい本番の時疲れてるんですよね。どういうわけか最近は。だから動かないんですよ。

-- 今、例えばステージにしてもトータルなのって流行ってますよね、ああいうステージやってみたいですか?
K/ やりたい
D/ ぼくはやってみたいですね。
M/ トータルなものはやりたいですよね。

-- この前のは、やっぱりそういうあれでしょ、ある程度。
M/ そう見ていただけたんなら、割とうまくいったほうかもしれませんね。

-- また俳優座で演奏していきますか?
M/ 俳優座は続けるつもりです。が、あの、2回めはもう来年ですね。今年いっぱいふさがっています。

-- ギターは、エレキを持つ以前は、クラシックとか何かやっていましたか?
G/ いや、いっさいやってません。

-- 最初からエレキですか?
G/ はい。

-- メンバーがロックをやりはじめたきっかけ?
K/ ビートルズ。
D/ もともとこういう音楽、大嫌いだったんですけどね、2階にいるある人がしょっ中かけるんです。そのうちビートルズを覚えはじめちゃって、そのうち上でタイコたたき始めたんですよね。その人がやるとマネしたくなるもんで、マネしてるうちにはまりこんで(笑)
G/ ええ、大体おなじような。まわりの人がやってて、で、あいつらに出来るんだったらオレにも出来るだろう、と思ってやっていたらこんなになって(笑)

-- 四人囃子という名前はだれが?
D/ ボクです。

-- 結成は70年5月ですか?
M/ ええと、昭和の45年か、46? だから46年の5月くらいなんだよ、だから71年でしょ。

-- グルーピィなんてもういますか?
D/ なんですかそれ?(笑)
-- 雑誌には書きませんから(笑)

-- あの、レコーディングのことですが、LPですかシングルですか?
M/ まだ、いや、うちでやる場合に関してはLPですね。レコード会社は未定です。いろいろあるんですけど、一番うちを分かってくれる所へ行きたいし。レコード会社の条件的なものは、どこでも大体同じなんですよ。だからどこでも構わないんですけど。結局、うちのバンドってのはわりと同じようなものは日本にはないしね。で、やっぱり、今までと同じようなやり方でも困るし、また、なんていうのかな、そういうものと一括されちゃうものでもないから、非常に難しいものです。それはレコード会社の人も分かってるんですよ。だからなかなかお互いに踏み切れないっていう感じで。だからあるレコード会社なんかには、もうマザー・テープなんかあるんだけど、それも半永久的に出ないだろうし。

-- 話はかわりますけど、メンバーの趣味とか好きなものは?
M/ さあ出ました(笑) みんな女でしょ(笑)
K/ スキーです。
G/ いろいろありますよ。いろいろ。

-- 外国へ公演したいと思いますか?
G/ あるねえ。

-- やっぱり世界的にレコードを売ってみたいとか、最終目的として
M/ 一応どこでも思ってんじゃないですか。

-- その場合、日本語でできると思いますか?
M/ やりたいですねェ、日本人だから。

-- ええ。フラワーなんか、カナダへ行った時は大部無理したんでしょう。
M/ かなり苦労したとか。

-- ああいうやり方はどう思いますか?
K/ フラワーのことはあまりよく分からないし...
M/ あのねェ、フラワーなんかに関してはね、あの人たちの時期的なものてのは、要するにロック、日本でのロックっていうジャンルにいれちゃうならすごい歴史はまだ浅いでしょ。だからあの人たちは、はしりだったわけですよ。要するに、ああいうことをやったのはフラワーが最初だし。だけどやったことに関してはすごく認めるしね。今だに他にいないし、フラワーみたいな雰囲気をもったのは。だから、ある時は日本でやっていた若いバンドってのは、フラワーを目標にしていた。だから彼らのやったことに関しては、やっぱりエライんじゃないですか。ただ、あそこで終わっちゃうのは、僕はやっぱりああいう形で終わっちゃうのは、あの人たちの出てきた時期的なものが、かなりあると思うんです。

-- 日本のミュージシャンはみんなロンドンとか、憧れるんですけど、行ってみたいですか?
D/ 是非行ってみたい。各自の水準から言ったらね、うちはまだまだ。日本の国内でもね、ボクたちよりうまい人いっぱいいるのを認めざるを得ない。4人集まった音からいったらボク個人の意見としては、ヘタなケトーのバンドよりいいと思う。

-- 僕の偏見からいってもやっぱりそう思います。
D/ だから行ってもいいと思うけど、英語が弱いから駄目かしら。
G/ ケトーはこっち来て英語しゃべるんだから、こっちは日本語で、
D/ あの辺が一番頭に来るな。ただ自信のもととなってるはね、ケトーの客がときたまいるわけですよ。いや外人の客が、いっぱいいるんですよ。そうすると日本人の客は、うちの音にはピンとこないらしいんですけど、今まで外人にはうけてますね、かなり。次はどこに出る、なんて追っかけてくる。何かフラワーも前そういうことあったとか。

-- そうですね、前、日比谷でみた時、キャロルが出て、外人がしらけてテリブル!とか言ってたんだけど、フラワーが出てきたらマジメに聴いてました。
 例えば、他のグループが似たようなのやってたら、気にならないですか?自分がやりたいと思ってたようなことを。
D/ いたら気になるでしょうね。

-- そういうことは今まで別にない?
D/ まわりでなんかね、よく友達が探してきて、 あそこのバンドがお前らと同じようなことをやり始めたなんていって、別に探しに行くこともなくどこかで一緒になって聴いてみると、全然、根本的に違うし...ボクたちがコピーやってきたというのは、、まず重大な意味があるしね。他のバンドはコピーてどこかでやったわけでしょ、そのコピーやめてオリジナル出すと、その途端コピーは何の関係もなくなったりして。ボクたちはコピーしたものは全部入っているから、頭の中に。

-- 親しいグループは?
M/ 「頭脳警察」、「あんぜんBUND」とか。まあ、そういう面では、も解散しちゃったけど「エム」とか「フラワー」と親しいし。全然近寄らないバンドもいるけどね。
D/ 若いグループよりベテランのグループにつきたくなるんじゃないかな。
M/ そういえば、今、若いグループはあんまりいない。

-- 日本のグループは少し売れてから長つづきしないんですが、四人囃子はどうですか?
M/ 少し売れたのが続いてるから分からない。そのまま終わっちゃうんじゃないですか(笑)

-- けどやっぱり、長く続く可能性はありますか?
M/ うちの連中は若いし、やりたいこともまだ全然やってないから、一応僕は続くと思ってます。

-- メンバー・チェンジは?
M/ 今までは一回もないです。これからはどんどんやるつもりです(笑)

-- 僕の知人で昔ギターやってた奴がいまして、一時期はジャンジャンとか野音に出たりしたんですが、
M/ 今やってんですか?

-- いや、今はやってないです、就職です。
M/ みんなそういう程度で終わっちゃうんだよ。

-- そうですね。
M/ ロック・バンドの場合はいろいろな問題があるんですけどね、ま、機材的な問題があるから。なにしろ一番金のかかることをやってるんだから。だからそもそも割と若い奴がやるにしては一番資本のかかる。そういう点でなかなか続けるということは難しいんじゃないですか。まだ日本の市場では。

-- 機材はどうなさってるんですか?
M/ 一応、全部そろってますけどね。全員が汗水たらして買ったものです。
D/ 一緒の頃にでてきたバンドでね、つぶれてった原因はね、みんなベンチャーズが出来ないからじゃないですか?
 うちはみんなベンチャーズうまいですからね。ロックンロールやってるグループより、ピンク・フロイドやってるうちの方が、ベンチャーズうまいっていうのは疑問なんですよね、ボクは。まったくもって。
-- 日本の場合は、やっぱりロックの流れなんか考えるとベンチャーズの存在は大きいですよね。
M/ そうよねえ。

-- まだ地方なんか行きますと、結構根強い人気がありますし、地方公演なんかでやれといわれれば、やりますか?
M/ いえ、そんなことはないですけどねえ。今んところ、うちが一番のるのはベンチャーズじゃないですか(笑) 自分たちの曲より(笑)

-- いわゆるロックンロールてのは?
D/ 大好きですボクは。これも個人個人。
G/ あればっかりじゃきついですけどね。
M/ だからねえ、ロックンロールていうもの自体がね、特に日本では、むこうでもそうですけどね、メインになる音楽じゃないですよね、今は。で、むこうでも勿論ロックンロールやってるのもかなりいるけど、アンコールでロックンロールやって客をのせるとかね、かなり手段的なものに使っている。やっぱりロックンロー里なにかしをやらせるっていうのは、特に今の時代に、もともとあわないんじゃないですか、絶対ロックンロールが肌にピッタリという人間は、ごく稀だと思うんですよね。そりゃ中にはいるでしょうけど。メインにもってくるということは、今は多分無理だと思います。

-- ロックをやるにあたって、ブルースってのは基礎的なものだと思うんですが、コピー段階ってのは必要だと思いますか?
M/ 必要なんじゃないですか。不必要なもんてのはないんですよ。
D/ ブルースってのは、カントリーが占める位置より大きいでしょう、ぼくボクたちには。カンツォーネとかいろいろより。
G/ カントリーより分かり易いしね。ボクたちが聞くときにピンとくる。やっぱりむこうだったら同じ比重でかかってくると思うけど、そこら辺は変ってしまわざるを得ない。でも、ちょっとかじってやめるより、ジックリやらないとね。

-- 外国にはクラシックの伝統があるんですけど、外国のバンドには自然と備わってるわけですよね。ある程度。そのハンディキャップは感じますか?
M/ かなり感じますね。
K/ 個人的にはそんなに感じませんけどね。
D/ 感じる部分もあるし、
G/ 逆に面白い部分もあるし。
D/ ただ、もともと白人が作った音楽をやっている上だからギャップの大きさってのはこまかいところで出てきますね。変に。
G/ 基本的な問題で出てきちゃうからね。
D/ だいたい、日本のクラシックとむこうのクラシックとでは、ミュージシャンが違いますからね。むこうの人は、ハゲ頭のおじさんでもリズム感が全然違いますから。バイオリンのこうなんていうの、あれはピックとはいわないな、日本のクラシックの人は大抵の人は見てられませんね、リズムが。ウソっぱちのリズムばっかりやってる。
M/ 躰にリズムがないんです。頭にはあっても、譜面を追うことは出来ても、躰にそれだけ浸透してないから。

-- そういうものは後天的に補うことは出来ると考えますか、それとも、次の世代を待たないとダメとか。
M/ そんなことはないですね、僕らは僕らなりに出来るのはオレたちだけだみたいなのがあるし、それがなかったらやってない。

-- 経済状態はなんとかやっていけますか?
M/ やっていけますけど、まったく不満足ですね。

-- ビートルズくらい金がないと、誰も満足しない(笑)
M/ やっぱり要するにね、まだすべてに、いわゆる最低限にね、メンバーが欲しい楽器をも全てそろえられない状態では、満足のマの字もいかないじゃないですか。それが最低条件。それからじゃないですか。

-- 地方の公演はディスコが多いんですか?話は変わりますが。
M/ 地方ですか、地方でディスコはやったことがない。すべてコンサート。

-- 昨日はアシベで
M/ ええ。

-- ディスコの方がやり易いですか?
M/ うちはACBだけです。何故かっていうとやり易いし。要するにディスコってものも、うちがコピーやってきたのと同じでね、必要性があるから時々やろうという。そりゃやっているバンドもいる。例えば村八分なんか。今だに続けているしね。考えていることは少しは違いは、勿論あるけれどもディスコに関しての必要性というのは、この前チャー坊なんかと話したけど、大体同じですね。あのまだ、いろいろな点で身につけるべきものをつけないままに、コンサートに出るバンドが多すぎるでしょ。その点でディスコは必要なところもある。ただ、ディスコに染まっているバンドもあるけど、あれはあのまま終わっちゃうもんです。ディスコに染まるということを頭においてやってれば、べつにやるやらないっていう問題はないんじゃないですか。例えば、地方へ行ってディスコでやらないというのは、地方のは安いから。高いところがあればとんでいきます(笑)

-- 時間はだいじょうぶですか?
M/ 大丈夫です。

-- 放送や雑誌は日本のバンドをあまり扱わないけど、それは四人囃子が日本で活動するのに障害になりますか?
D/ やはり欧米との差があるから。でも雑誌に載せてくれないから四人囃子のようなスゴイバンドも人に知られない(笑)
M/ コンサートは一度行ってつまらないと、そのバンドはだめだとお客が決めてしまって、次には来なくなってしまう。いつも同じ演奏をしているわけじゃないのに。

-- メンバーの好きなアーチストは?
G/ いっぱいいます。ヘンドリクス、クラプトンは勿論のこと、ジェフ・ベック、リッチ・ブラックモア、ハービー・マンデル。サンタナね。まあ大きいところではそんなところで。みんないいから、嫌いな方が少ない。

-- 嫌いなギターとか、そういうのは?
G/ ユーライア・ヒープ(笑)
D/ ボクもいっぱいいるけど、楽器の関係からギターみたいにいろんなのにイロケだすわけにもいかないから。
G/ 忘れてた、デイブ・ギルモア。罰が当たっちゃう
D/ 好きなのは、影響うけたのは、ジミ・ヘンドリクスのところにいたミッチ・ミッチェル。あれは好きで好きでしょうがなかった。今でも好きだけど。あとはもう...いろんなドラムが好きですよね。
G/ スティーブ・ハウもいたなあ。きりないんだよ、あげてくと(笑)
D/ ボクは、ドラムは最初みないんです。なにしろ、レコード聴いても生バンドみても、ドラムだからドラムみるってことはなく、だから自分のレコードでも、あのドラムどうなってんだって聞かれてもね、普通は知ってるらしいんだけど、全然コピーしたことないから分からない。
K/ プロコルハルムの前オルガンやってた人。あんまりいないなあ。げど、あとロックとかそういうのに関係なくて...
G/ エマーソンは?
K/ エマーソンもいいけど。

-- 最近の来日アーチストで面白いのありましたか?
G/ こいつ(D)は面白いのいっぱい見てる。
D/ 他のやつは勉強不足でダメなんですよ。ボクは殆ど見たけどみんないいです。でも好みから言って、ピンク・フロイドの1回目、ジェスロ・タルが群を抜いて芸術だった。デヴィッド・ボウイも最初偏見もってたのが、一ぺんでふっとんじゃった。イエスは何もいうことなかったし。やばかったの言った方が早いですね。ユーライア・ヒープとマウンテンかな、来なくて良かったのが。あとテン・イヤーズ・アフターと。あとは全部どのグループと比べるというのではなくて会場がそのグループにあわなかった、なんてそのグループ自体の責任以外のことでしかなくて、演奏そのものには文句はなかったですね、殆ど。ハンブル・パイも久し振りにのれるというコンサート。ストーンズは来なくて良かったですね。
-- ああ良かったですね。いい席買ったんですけど(笑)


以上、インタビューの大体半分位。インタビューというより雑談の時間の方が長かったみたいですが、なるべく編集を避け、枝葉末節まで掲載するよう努力してみました。
 尚、ベースの中村くんの声が入っていないのは、連絡の手違いから一時間程遅刻して来場した理由によるものです。全国のベース・ファンの皆さん、御免なさい。それから、このインタビュの機会を作って下さった東宝レコードのTさん、四人囃子の皆さんに深く感謝いたします。   (文責 編集部)