シングル・ヴァージョン のレディ・ヴァイオレッタ
ゴールデン・ピクニックス収録のバージョンと異なる フルートなしヴァージョン

現在は、紙ジャケット・シリーズ(2002年末リリース) の「ゴールデン・ピクニックス」にボーナス・トラックとして収録されています

資料提供:福岡史洋さん


Songs

A面 : レディ・ヴァイオレッタ 森園勝敏曲 4:27
B面 : カーニバルがやってくるぞ
     (パリ野郎ジャマイカへ飛ぶ)
茂木由多加作詞作曲、L.フェレ作曲 3:59

Album Credit

四人囃子
YONINBAYASHI

岡井大二 - DRUMS
森園勝敏 - LEAD VOCAL & GUITAR
茂木由多加 - KEYBOARD
佐久間正英 - BASS


Notes

 1975年は日本のロック元年と言われる位に色々なグループが、いっせいに活動を開始した年でしたが、76年になってそれ等は淘汰され、実力のある幾つかのビッグ・グループが残って活動しているという現状の中にあって四人囃子は「幻のグループ」という印象で知る人ぞ知るという感じだったが、今回CBS・ソニーへ移籍して、初めて本格的にオーバー・グラウンドなプロモーション体制のもとに、その実力にふさわしい体制で、レコードが発売されるという事は僕達ロック・ファンにとって非常に嬉しい事だと思います。
 同時発売のLPを聞いた限りでは彼等のサウンドは以前よりもコンテンポラリーな雰囲気になってきて何か非常に大人になった印象を受けたけれども、このシングルはイージー・リスニング(決してそうではないが)のようにも聞ける程、分かりやすい曲で、一寸意外な気もしました。
 相変わらず森園君のギターが心地よく鳴いていて、これは日本のロックのスタンダード・ナンバーになり得る美しい、それでいて躍動感に満ちた曲だと思う。
 四人囃子は、非常に表現力のあるグループでステージも他のグループとは一味違うと評価されてきたが、決してひとりよがりでないところが良い。
 彼等の完全主義的な音の完成度は非常に魅力的だと思う。
 これまで代表曲がなかった様に感じるが、この“レディ・ヴァイオレッタ”が代表曲の一つになり得るように祈っています。

文化放送 江川雄一


 フォークがそのナマナマしい自己顕示を経て、日本のひとつの音楽世界として完成するまでに何年を必要としたでしょうか。そしてその間、日本のロックは何を追い求めつづけて来たのでしょうか。フォーク・ソングが行き場所を見失って音を飾り立てることにもがき出した今、ようやくロックは自分自身をつかまえたような気がするのです。
 昨年、1975年はこの音楽の流れから言って、大きな転換点ではなかったかと思います。もうロックと呼ぶことすら気恥ずかしくなるようなサウンドがつぎつぎに出て来ました。ハード・ロックのまがいものの伝統は完全にぶちきった、明るいノンビリしたデカイ面をおくめんもなくさらけ出した音です。流れの元はミカ・バンドあたりでしょうが、昨年から細野晴臣、大滝詠一、山下達郎、久保田真琴などと来て、この四人囃子です。旧ロック世代のそれまでの音の歴史を意識してしまうい、それを壊すことから創り出したロックではありません。
 四人囃子の本質は余裕です。思いつめ、ギンギンになって音を探し出す(ハードと言う意味ではなく)グループではありません。自分の内側をシャレッとして見せてしまう、それが聴く者を感動させてしまう。地方文化が創り出していた音楽の世界を、平気な顔をしてひっくり返す都会っ子のサウンドなのです。
 日本のロックも、やっとここまで来てくれたかと、このLPが生み出した新しい流れを率直に喜びたいのです。

ニッポン放送 中側公夫